人生には美肌以上に大切なものがある

「肌がきれい」と人にほめられることは、女性にとってはいくつになってもうれしいものです。

ただ、お人形のように完壁な美肌をめざすあまり、今の自分の肌を好きになれない、あるいは、肌を守ろうとするあまり今の生活の楽しみをないがしろにしてしまうのでは本末転倒だとも思うのです。

皮膚科医の立場からすると、肌質というのは一長一短です。

これは30年間の臨床経験から得たわたし個人の意見ですが、ニキビになりやすい肌の人は、そのぶん毛包脂腺系がしっかりしているのか、シワっぽい肌になりにくい傾向にあるように思います。

反対に毛穴が小さくてキメの細かい肌の人は、若いうちはとてもきれいなのですが、シワができやすく乾燥肌になりやすい傾向にあります。

多くの人が憧れる色白肌も紫外線に弱く、シミやそばかすが出やすい傾向があります。

反対に、色黒の人はどう逆立ちしても色白肌にはなれませんが、紫外線に対して防御力が高いため、シミができにくく、紫外線によって肌がおとろえるペースもややゆるやかです。

人生トータルで見ると、「お肌の収支はうまく帳尻がとれている」と感心するぐらいなのです。

よく美容雑誌で、肌の悩みランキングなどをたびたび特集していますが、自分の肌の好きなところのランキングがほとんどないのは残念なことです。

誰でも、肌のいいところは見つかります。

そこに着目して、生かしていけるような肌の育て方をしてあげるのがスキンケアだと思います。

だから、まず自分の肌を好きになって、いいところを認めることからはじめてみましょう。

ときには、「何もしないケア」も肌にとってはご褒美

ときには、「何もしないケア」も肌にとってはご褒美です。
肌をさわってうるおいや手ざわりを確認してあげながら、気持ちいいと感じる程度の洗顔や保湿をやさしくしてあげればいいのです。

さらに、紫外線ケアは年中無休としましたが、何がなんでも紫外線ケアしようとがんばる必要はないと思います。

外の世界には、楽しみや驚き、感動に満ちた世界が広がっています。

紫外線のために家に閉じこもってこうした楽しみを躊躇してしまうのは、あまりにもったいないことです。

サンスクリーンを塗ったり、帽子をかぶったり、自分のできる範囲でケアをしようという姿勢で十分だと思います。

老化は避けられないものと認識する

皮膚が老化していくことは、避けることはできないのです。

どれだけ念入りにケアをしていても、やがて老化の兆候が訪れることは間違いありません。

そのとき、若々しい素肌を失った代わりに、わたしたちの手に残っているのはなんでしょうか。

老後の肌を心配する以上に、ほんとうはそのことをもっと気にしなければならない気もします。

50代の女性が20、30代の肌である必要はないのです。

人間は年をとれば、髪も肌も歯も目もすべてが老いて、おとろえていきます。

そうやって若さを失っていくなかで、その人を輝かせるものは何かと考えたら、豊かな人生経験や思考の積み重ねといったものだと思います。