子育てや仕事などで忙しいと、スキンケアに時間やお金を掛けたくないという人はいます。
そういう方々に対して、「スキンケアは保湿で肌を保護するだけでいいのです。お手持ちの化粧水や乳液を使って1分~2分で済ませてください」とのお話をしたところ、「それでは美白を実現できないと思います」と悲しそうな顔をされる女性がいました。
なぜ、みなさんは「美白」にこだわるのですか?
化粧品では「美白」という言葉がよく使われていますが、美白=白い肌というイメージは、肌の健康から考えるとよくありません。
もともと白色人種で白い肌を持っている人たちならばともかく、私たち黄色人種は、白くなる=肌の健康を失うことにつながりかねないからです。
美白にこだわる必要はまったくありません。
そんな考えは今すぐ止めていただきたいと思います。
 

人の肌の色は何で決まるの?

では、人間の皮膚の色は、何で決まっていると思いますか?
答えは、シミ・黒ずみの原因となるメラニン色素の量です。
メラニン色素は、紫外線から身を守るために重要な役割を担っていますが、その量によって肌の色は異なっているのです。
一言でメラニン色素といいますが、種類が2つあって、赤い色のユーメラニンと、茶色から黒色のフェオメラニンがあります。
これらのメラニン量で肌の色が違っているのです。
人間の肌は異なっていても、色素細胞の数は変わりません。
肌の白い人でも、黒い人でも、色素細胞は同じように1平方センチメートル辺りおよそ1000個~1500個存在しています。
色素細胞は、肌の弾力やハリにも関係していますが、仮に肌の白い人の色素細胞が少なければ、肌の黒い人よりも肌の弾力やハリは弱いということになります。
しかし、人間の身体の仕組みとして、大切な肌を守るために色素細胞が肌の色に関係なく備わっているのです。
つまり、肌の色を左右しているのは、色素細胞ではなく、「メラニン色素の種類」と量といえます。
メラニン色素は色素細胞で作られるといいましたが、正確には、色素細胞が作っているのはメラノソームというカプセルのような小さな器官です。
それを肌の上の部分すなわち「表皮」に向かって出しています。
メラノソームは、表皮のあちこちに点在してメラニン色素を作り出しているのです。

色素細胞←メラノソーム←メラニン色素。

肌の色が異なる人々でも、色素細胞の数は同じです。
ただし、肌の色によってどの程度の大きさで、どのくらいの量のメラノソームを出すか、生まれたときから決められています。
そのメラノソームからメラニン色素が程良く出されることで、肌の色になるのです。
肌の色だけでなく、髪の色を見ると、色素細胞は人種に関係なく数が同じというのがよくわかります。
色素細胞は髪の毛を生み出す「毛包」にも存在しているからです。
毛穴の中で髪の毛を作っているもとになっている器官で、ここにも色素細胞はあります。
もし、色素細胞の数によって肌の色が変わるのであれば、毛包の色素細胞の数も少なくなって、髪の毛の色も白人は金髪や白髪のみと、決定づけられることが考えられます。
しかし、白人の方々の中にも髪の毛は黒、あるいは、茶色の人がいます。
肌の色イコール髪の色にはなっていません。
もともと人間の肌がどの色だったかはわかりませんが、何百万年もの月日を経て紫外線と共存してきた中で、その防御の必要性に応じて皮膚の色を最適なものにしてきたことは考えられます。

メラニン色素と紫外線

メラニン色素の量がたくさんあれば、紫外線を防ぐ盾をたくさんもっていることになります。
自然環境の中で、肌の色が濃い人の方が、紫外線にも対抗しやすい肌を持っていることになるのです。
『種の起源』の著者である19世紀の英国の自然科学者チャールズ・ダーウインの考えに基づけば、赤道直下の島で強い紫外線を浴びる中で、肌の病気などに侵されることなく健康で生き延びた人は、メラニン色素を肌にたくさん作って、きっと肌も茶色から黒色だったと思います。
逆に、緯度が高くて、1年のうちでも日光が差す時聞が限られている地域の人は、浴びる紫外線量も少ない。
メラニン色素をたくさん作る必要もなく、肌の色は白くなっていった。
そんな祖先の遺伝子を受け継いで肌の異なる人々がいます。
人間は生物の一種であり、今でも進化の過程にいます。
最近は、地球を取り巻くオゾン層が破壊され、紫外線量が多くなったといわれますが、未来の人間は強い紫外線量から身を守るためにメラニン色素のたくさんある肌を持つ人が増えるかもしれません。
逆に、建物の中での生活が増え、メラニン色素が滅ることも考えられます。
メラニン色素は、紫外線という強敵に抵抗するための武器です。
武器を持たない状態で、紫外線に当たれば、当然、肌はダメージを受けます。
美肌を望み、美白に関心のある人の中には、ヨーロッパの色白の肌の人々に、憧れのような気持ちを持っている方もいます。
しかし、白色人種の方々は、肌にメラニンが少ないために、肌は透きとおり、毛細血管の色の青さが浮き出て青白くも見え、紫外線にとても弱いのです。
そのため、日常生活の中でもシミやソバカスなどが生じやすく、南国のバカンスで日光浴を楽しんでいる白色人種の方々の肌を見ると、全身がシミやソパカスだらけというのは珍しいことではありません。

白すぎる肌は皮膚がんの危険性もある!

また、肌が白い人は、皮膚がんになりやすいといわれています。
肌の色が白い人は、肌の色が濃い人よりも、なお一層紫外線から身を守る努力をする必要があるのです。
日本人の肌は黄色です。
「私の肌は白い」と反論する方もいるかもしれませんが、人種的には黄色人種であり、皮膚にはメラニン色素という紫外線から身を守る武器をある程度
備えていることになります。
つまり、色白の人よりも、少し色のついた肌の人の方が、紫外線に対する防衛能力が優れているともいえるのです。
そんな優れた特徴を無理に手放す必要が、なぜあるのですか?単に色白=美白、さらには、それに結びつけた美肌の化粧品メーカーの戦略にのり、わざわざ健康的な肌をなぜ捨てようとするのですか?

紫外線とメラニン色素まとめ

無理に色白になる必要はまったくありません。
生まれ持った肌の色を活かして、健康的な美肌を考えていただきたいと思います。
肌の色が白ければよいというのは、単なる化粧品のイメージ戦略に乗った発想にすぎないと私は考えています。